ビットコインの歴史が動くかもしれない──
2025年5月22日、暗号資産にとって象徴的な一日が訪れようとしています。
この日は、2000年代からビットコインを支えるコミュニティの間で祝われている「ビットコイン・ピザデー」。 2010年5月22日、アメリカ・フロリダのプログラマー、ラズロ・ハニエツ氏が、1万BTCと引き換えにピザ2枚を購入したことを記念する日です。筆者はまだ2010年当時、ビットコインを知りませんでした。
当時はたった41ドル相当だったビットコインは、今や1BTCが数万ドル~10万ドルを超える時代となり、「世界一高価なピザ」としても語り継がれています。毎年、ラズロ・ハニエツ氏は後悔しているかもしれません。
ちなみに、ビットコイン・ピザデーはアメリカ時間で毎年5月22日にあたります。 そのため、日本では5月23日がピザデーとして認識されることが多く、タイムゾーンの違いを意識して情報発信することも大切です。
今年のピザデーは例年以上に注目を集めています。 なぜなら、米国で初めてとなるステーブルコイン規制法案『GENIUS法案』が、まさにこの日に上院で最終採決を迎えるからです。
ピザで始まったビットコインの歴史
ビットコインは2009年にサトシ・ナカモトという名の人物の論文によって生み出されました。 当初はごく限られたコミュニティの中で使われていましたが、2010年に実際に「モノ」と交換されたことで、大きな一歩を踏み出しました。
それが「ピザデー」です。 1万BTCという今では信じられない額でピザ2枚を購入したこの出来事は、「ビットコインが初めて実世界で価値を持った日」として、今日でも世界中の暗号資産ファンに祝われています。
GENIUS法案とは?
GENIUS法案(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act)は、米国におけるステーブルコインの規制枠組みを定める初の包括的な法案です。
主な内容は以下の通りです:
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ステーブルコインは現金や短期米国債などで100%裏付けされる必要がある
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発行体には月次レポートや第三者監査の義務が課される
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マネーロンダリング対策(AML)および制裁遵守が義務化
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外国発行体が米市場に参入する場合は、同等の規制が必要
これにより、市場の健全化と消費者保護、そして国際的なドルの競争力維持が図られます。
なぜ「ピザデー」に注目が集まるのか?
自由な価値交換の象徴だったビットコイン。 その誕生を祝う記念日に、国家レベルでの規制が重なるという「対照的な出来事」が、今年のピザデーを特別なものにしています。
ビットコインの価格は、法案に関する手続き投票の通過後、わずか24時間で2%以上上昇。市場では「可決されれば信頼性が増す」と期待されており、ピザデー×法案可決の「シンボリックな重なり」が投資家心理を動かす可能性があります。
もし明日、法案が可決されたら?
GENIUS法案の上院本会議での最終採決は、米国東部時間5月22日午後8時35分(日本時間5月23日午前9時35分)に予定されています。
可決されれば、暗号資産にとって「自由」から「信頼」への移行が本格的に始まるでしょう。 逆に否決された場合も、再審議や修正による再提出が見込まれており、ステーブルコイン規制の議論は止まりません。
【追記:2025年5月23日】
本記事は、当初、GENIUS法案が2025年5月23日(日本時間)にも米上院で可決される可能性を前提に構成されていましたが、最新の議会日程と報道により、法案の最終採決は祝日明けの週(5月28日以降)に実施される見通しであることが確認されました。
上院ではすでに審議入りが正式に可決され、法案内容の修正協議も進んでおり、週明け以降の本会議での可決が強く期待されている段階です。
引き続き最新の動向を追い、確定情報が入り次第、別記事にて速報をお届けします。
まとめ|ピザで始まった未来が、ルールによって育つ時代へ
かつて、1万BTCで買ったピザが、ビットコインの未来を開きました。 そして今、ルールという「信頼の枠組み」が、その未来を支えようとしています。
2025年5月22日── それは、ビットコインの過去と未来が交差する日になるかもしれません。
※追記
なお、この日にあたる前夜の日本時間2025年5月22日未明、ビットコインは史上最高値を更新しました。
GENIUS法案の採決を控えるなか、市場には制度整備への期待が高まり、記念日と呼応するかのように価格が反応した形です。
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