RWA(Real World Asset:実世界資産)とは、不動産や国債など現実の資産をブロックチェーン上にトークン化して運用可能にする仕組みですが、いよいよ大企業が世界的に動き出してきました。(→ RWAとは?実世界資産の基礎知識を解説(入門編))。
2025年5月、リアルワールドアセット(RWA:実世界資産)のトークン化市場において、金融とブロックチェーンを結ぶ2つの大きなニュースが注目を集めました。直近のブロックチェーン、暗号資産業界でかなり重要なニュースだと思い記事にしました。
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JPモルガンがアメリカ国債をパブリックブロックチェーン上で決済
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ブラックロックのBUIDLファンドがDeFiプロトコルに初接続
これらは「伝統金融(TradFi)」と「分散型金融(DeFi)」の境界を越え、RWAトークン化の本格始動を象徴する出来事です。本記事では、注目ニュースの解説と、今後の市場動向・将来性をお伝えします。
JPモルガン:Chainlink CCIPで米国債をオンチェーン決済
JPモルガンは、オンド・ファイナンス(Ondo Finance)、Chainlinkと連携し、OUSG(Ondo US Government Bond Fund)という米国債トークンをイーサリアム上で決済することに成功しました。決済インフラにはChainlink CCIP(クロスチェーン通信プロトコル)が使われています。
これにより、これまでJPモルガンが自社内で運用していた「オニキス(Onyx)」という閉鎖型ネットワークから一歩進み、パブリックブロックチェーンでの実取引に至ったことは画期的です。この動きは、まさに「JPモルガン ブロックチェーン」戦略の進化を象徴しています。
注目ポイント:
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アメリカ国債という最上級の信用資産がDeFiと接続
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銀行×DeFiというこれまで交わらなかった世界が融合
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Chainlinkが技術基盤として注目
RWAとDeFiの融合:ブラックロックのBUIDLファンドが接続開始
もう一つの注目は、世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)が手がけるBUIDLファンドが、イーサリアム上に構築されたDeFiプロトコル「セキュリタイズ(Securitize)」を経由してDeFiと接続したというニュースです。
このファンドは、USDTなどと引き換えにアメリカの短期国債などで構成されたトークンを提供しており、今後DeFi上での流動性供給なども見込まれます。
また、この接続の技術的なつなぎ込み部分にはアバランチ(Avalanche)も関与しており、RWAのオンチェーン化における複数チェーンの連携可能性を示しています。
注目ポイント:
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RWAトークンがDeFi上で実利用可能に
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ブラックロック×アバランチという強力タッグ
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セキュリタイズは検索急上昇中(+900%)
RWA市場の将来性:数百倍の成長余地
調査会社の予測によると、RWA市場は以下のような成長が見込まれています。
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シティグループ:2030年までに市場規模は5兆ドル(約750兆円)
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ボストンコンサルティンググループ:16兆ドル規模に達する可能性
現在のRWA市場規模はまだ数億ドル程度であり、今後数百倍以上の成長が期待されることになります。
トークン化の対象と可能性
主に以下の資産がトークン化の対象となっています:
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不動産(商業ビル、分譲住宅、民泊など)
→ 高額資産の分割保有やグローバルな売買に革命をもたらします。 -
高級資産(美術品、金、ワインなど)
→ 価格が不透明な市場に透明性を導入し、新しい投資機会を提供します。 -
金融資産(債券、デジタル証券)
→ 安定資産をDeFiで活用できるようにし、機関投資家の参入を加速させます。例としては、米国債や不動産証券などがERC-20トークンとして発行されるケースが増えており、規制準拠の取引が進んでいます。
今後注目のRWA関連プロジェクト・技術
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JPモルガン:オンチェーン国債決済で先行するグローバル金融機関。ChainlinkやOndoと連携。
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ブラックロック:BUIDLファンドを通じてDeFiに参入。セキュリタイズとの連携が注目される。
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Ondo Finance(オンド・ファイナンス):ブラックロックとの連携で注目度上昇中ブラックロックとの連携で注目度上昇中
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Chainlink CCIP:クロスチェーン通信技術でDeFiとTradFiの橋渡しに貢献
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セキュリタイズ(Securitize):DeFiに現実資産を流し込む重要プレイヤー
関連リンク
まとめ
2025年に入り、RWAトークン化は本格的な実用フェーズに突入しています。今回のJPモルガンとブラックロックの動きは、単なるニュースにとどまらず、今後数兆ドル市場へ成長する布石です。
RWAは、仮想通貨業界の中でも「現実資産をブロックチェーンで扱う」ことで高い実用性と透明性を実現する次世代のトレンド。筆者も特にこの分野には興味があり、今後も継続的に注目していく必要があると感じています。
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